栃木県病院薬剤師会創立60周年を迎えて
越川 千秋
栃木県病院薬剤師会は平成23年に創立60周年を迎えることができました。これまで会の運営にご尽力いただきました先輩方及び関係各位に心から御礼申し上げます。昭和26年に55名の会員で発足した会も今年は521名を数えるまでになりました。
今年つまり平成23年、西暦2011年は日本にとって大変な試練の年となってしまいました。マグニチュード9.0という東北・太平洋沖地震の発生、その地震により引き起こされた巨大津波による想像を絶する被害、さらに追い討ちをかける福島原発の事故、東北地方から関東地方にかけて大変な事態となっています(東日本大震災)。東日本大震災発生から40日を経過した現在も必死の救出活動、原発の被害拡大防止の作業が続けられていますが先行きの見えない状況です。
このたびの震災により被災された全ての人々に衷心よりお悔やみとお見舞いを申し上げます。
また、大変厳しい環境の中、命がけで救出、復旧活動に当たっている作業員、自衛隊、消防、警察の皆様には最大限の敬意を表します。
病薬の会員の中でも「何かをしたい」「何かしなければ」と思っている先生が多いと思います。大震災からの復興には長い時間がかかります。私たちに何ができるかということを考え行動することが必要です。
私たちは平成23年3月11日午後2時46分に起きた東日本大震災を生涯忘れることなく語り続けなくてはならないと思います。
日本が復活する日を信じましょう。
さて、栃木県病院薬剤師会創立50年から60年までの10年間(平成13年~平成23年)にはいろいろな変化や出来事がありました。創立50周年記念誌には「いまや院外処方せん発行率は40%に迫ろうとしている」との記載があります。それから10年で60%を超える院外処方せんの発行率となりました。この10年間は本格的な医薬分業時代の始まりといえます。今後は本当の意味で患者のための分業となるよう職能を発揮していかなければならないと思います。
また、薬剤師にとって画期的な出来事がありました。30数年来の願いであった薬学教育6年制の実現です。平成16年5月14日に学校教育法等の一部改正法案が、同年6月15日に薬剤師法の一部改正法案が可決・成立し、薬剤師養成のための薬学教育が6年に延長されました。法の改正に伴い平成18年度の入学者から6年制教育が始まりました。この法改正は薬剤師の業務にも大きな変化をもたらしました。22週間に亘る薬局・病院での長期実務実習に対応するための指導薬剤師の養成、OSCE評価者の養成、また学生を受け入れるための環境・設備の整備、院内への周知及び了解など先生方には大変なご苦労があったと思います。手探り状態で始まった長期実務実習でしたが1年目がまもなく修了するという3期目の途中に東日本大震災が発生し実習が9週間で中止となってしまったことは残念でした。社会の要請に応えることのできる薬剤師を養成するための長期実務実習はこれからも続きますので引き続き受け入れとご指導をお願いいたします。
その他、この10年間の出来事として記憶しておかなければならないことがあります。マスコミの医療に対するバッシングに端を発し、そこに医師不足、看護師不足が加わり「医療崩壊」が起きました。医師の業務を軽減する目的で、チーム医療という名目で他職種がどこまで医療に加わることができるかということが検討され、医政局長通知として方向性が示されました。この通知を受けて薬剤師の業務はこれからの10年で次の段階に移ることになると思います。
次に、法人化についてです。平成23年4月に開催された第61回栃木県病院薬剤師会通常総会でお認めいただいたので、今年度は一般社団法人化に向けての手続きを進めてまいりたいと思います。法人格のない団体はあくまでも任意団体であり、なかよしグループであり社会的には評価されません。
60周年は職能団体として確立された組織にするための第一歩を踏み出す年となります。
栃木県病院薬剤師会は会員を始めとして多くの関係各位、多くの関係団体に支えられて60周年を迎えることができました。あらためて御礼申し上げますと共に、今後もこれまで以上のご指導とご鞭燵を賜りますようお願い申し上げてご挨拶といたします。
創立60周年記念誌 栃木県病院薬剤師会 平成23年7月 より掲載